2017年1月31日火曜日

「一発で」

 
 
 難病患者さんといえども、その人のすべてを救いたいと望んでいるので、一時的な急変を治められた程度ではとても満足できない。
 
 むしろ、急変を許してしまったことが課題に思え、付け入る透きのない針灸への探求心は高まるばかりだ。
 
 ──などと、自らのストイックさをいささか過剰に演出してみたが、今日のオレは、針灸師になって以来、初めてと言って良いほどの平静さで午後の診療時間を迎えている(声:田口トモロヲ)。
 
 
「声はまだこんなだけど、随分と調子は良いのよ。一発で治ったよ、一発で」
 
 患者さんは、往診の翌日、電話越しに、「一発で」という言葉を数度、その事実を自分でもかみ締めるようにしながら、この僕に伝えてくださった。
 
 難病そのものは、当然、まだ治った訳ではない。
 
 
 達成感を得た訳でも、向上心を失った訳でもないのに、今日の心はやけにおとなしい……。
 
 お世辞でも気休めでもない、本物の言葉に、僕は救われたということなのだろうか。
 
 重みも味わいもある、ありがたい言葉だった。
 
 
 右・太谿・灸 かつ 右・復溜・1番針
 左・内関・灸 かつ 左・郄門・1番針
 
 要・経過観察 ⇒ 缺盆・気戸(特に左)
 
 

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